パッシブな住まいにパッシブエアコン

ACTIVE DESIGN アクティブデザイン

快適・健康・省エネルギーに
深く関わる
冷暖房のアクティブデザイン

北海道の暖房を除き、これまで我が国の冷暖房は「居室間欠冷暖房」と呼ばれる、「居室だけを、点けたり消したりして冷暖房する」という方式がほとんどでした。 こうした方式はエネルギー消費が抑えられるものの、建物の熱的な性能の低さも相まって、部屋間の温度差が生じやすく、冷暖房している時間とそうでない時間との温度差も大きくなってしまうものでした。 当然ながらそうした住まいの快適・健康のレベルは低いものになります。
一方、「全館空調」という言葉とともに、とくに最近になって注目されてきたのが「全館連続冷暖房」と呼ばれる方式です。これは「家の中のほとんどの範囲を、ずっと冷暖房する」という考え方です。
こちらは快適・健康のレベルが高くなるという大きなメリットがあるものの、エネルギー消費は増える傾向になります。

パッシブデザインをベースに、
理想的な冷暖房のデザインを
追求したい

冷暖房のアクティブデザイン 冷暖房のアクティブデザイン

こうした状況を踏まえると、
冷暖房を検討するときのポイントは以下になります。

1

質の高い快適性、健康性を求めたいは全館連続冷暖房(全館空調)が合っている

2

全館空調システムを検討するときには、エネルギー効率や「きちんと効くか?」ということをチェックする

3

全館連続冷暖房であれ、居室間欠冷暖房であれ、パッシブデザインをきちんと考えないと満足度は下がる

また、24時間換気設備も熱の動きや温度・湿度を決める重要な設備であり、冷暖房のデザインと一緒に考えていくことが重要です。

室温と健康との深い関係

一日のうちで常に変動している人の血圧。変動の仕方には個人差があり正常の血圧の人では、起床後徐々に上昇し、夕方ごろにピークに、その後徐々に低下して深夜(就寝中)に最も低くなります。 しかし、この血圧パターンが変化して、起床後血圧が高くなるケースがあり、これを「早朝高血圧」といいます。
「早朝高血圧」には、起床後に血圧が急上昇するタイプと、就寝中に血圧が下がらないまま起床後に血圧が上昇するタイプがあります。 早朝から午前中に多く起こる脳卒中や心筋梗塞などには、朝の血圧が高い「早朝高血圧」を予防することが重要です。そのために、睡眠中の寝室の室温管理が重要で住宅内での室温差管理が大切です。

就寝中の寝室の室温が低いと朝の血圧は上昇します

寝室の室温と収縮期血圧の関係の具体例
起床後/50歳以上のケース

起床後に居間で測定した最高血圧値と、就寝中の寝室の平均室温の関係を分析すると、寝室の平均温度が0℃低くなると、朝の最高血圧(収縮期血圧)は7mmHg高くなる傾向があります。 血圧測定時の居間の室温が18℃以上と高い場合でも、寝室の室温の変化が大きい住環境では同様に血圧は上昇します。

寝室の室温と収縮期血圧の関係の具体例

寒い時期になると脳卒中や心筋梗塞を発症する率が高く要因として、家の中の急激な温度差によって血圧が大きく変動して身体に悪影響がおよぶ「ヒートショック」があげられます。上記の結果から、居間と寝室の室温差にも注意を向けた方がよいことが明らかです。

出典:「住まいと健康」に関する共同研究
(OMソーラー株式会社、慶應義塾大学理工学部、自治医科大学循環器内科学部門、オムロンヘルスケア株式会社)
2015年4月21日および12月22日発表より

アクティブデザインの
キーワード

1 エネルギー消費合計

「建物の工夫で自然エネルギーをうまく利用しよう」というのがパッシブデザインですが、アクティブデザインにおいても自然エネルギー利用は省エネルギーに大きな効果があります。 とくに、地球に届いている太陽エネルギーは大きく、「太陽エネルギーを電気に」だけではなく、「太陽エネルギーを熱に」という形としても徹底的に活用していくことが求められます。

我が国の家庭内の用途別エネルギー消費量と割合

我が国の家庭内の用途別エネルギー消費量と割合 (資源エネルギー庁 2011年度より)自然エネルギー利用の設備を採用して、暖房や給湯のエネルギー消費を減らすことが大きなポイントになります。

エネルギー消費性能計算プログラムの入力画面

エネルギー消費性能計算プログラムの入力画面 居室の構造や、床面積、地域区分などの基本情報とともに、外皮・暖房・冷房・換気・照明などを入力して、エネルギー消費量の検討を行うためのツール例。

2 自然エネルギー利用

省エネルギー住宅の実現を考えるときには、暖房・冷房・給湯・照明など各用途のエネルギー消費を見ながら、「1年間の家全体のエネルギー消費合計」に注目してパッシブデザインとアクティブデザインを検討していくことが重要です。 実際には、エネルギー消費量をシミュレーションすることで、こうした検討がしっかりできるようになります。
なお、国は地球温暖化対策の一環として、家庭部門のエネルギー消費量を「2013年を基準として、2030年までに約22%削減する」という目標値を挙げています。
寒冷地を除けば、2013年頃の1家庭あたりのエネルギー消費量は約80GJ/年なので、少なくとも60GJ/年を下回るような住まいをつくりたいものです。

自然エネルギー利用

3 清浄な室内空気質

室内空気には化学物質、ウイルス、カビ、水蒸気などが含まれており、快適で健康的な住まいの実現に大きな影響を与えます。問題を生じさせる物質や微生物を排除するには風通しを良くするパッシブデザインとともに、換気設備や空気清浄機の検討も重要になります。
もちろん、このときには換気能力や空気清浄能力をきちんと確かめて選択すべきですが、省エネルギー性(電力消費量)にも注目したいところです。とくに24時間換気設備について述べれば、高いレベルの快適性、健康性が求められてきたことで、熱交換型換気設備を設置する住宅が増えてきました。

清浄な室内空気質

全熱交換型換気設備の機能

実現しやすくなることに加え、冬場の過乾燥や夏場のジメジメを防ぐといった湿気のコントロ-ルができるところも大きな特徴です。もちろん、汚れた空気は常に排出されます。

建物をどう
デザインするか?

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設備をどう
デザインするか?

ACTIVE about

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